大切なデータを守り、かつデータの読み書きスピードを高速化するための仕組みである「RAID(レイド)」。 いざ導入しようと調べると、必ず「ハードウェアRAID」と「ソフトウェアRAID」という2つの言葉が出てきます。
「どちらを選べばいいの?」「何が違うの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、この2つの仕組みの根本的な違い、それぞれのメリット・デメリット、そして近年「超高速NVMe SSD」の登場によって起きている変化までを分かりやすく解説します!
1. ハードウェアRAIDとは?(専用チップにお任せ)
ハードウェアRAIDは、パソコン本体とは物理的に独立した「RAID処理を専門に行うコントローラー(専用基板やチップ)」を用意してデータを制御する仕組みです。 RAIDON(レイドン)のような外付けケースやPC内蔵型モジュール、またはサーバーのマザーボードに装着する「HBA(ホストバスアダプタ)カード」がこれに該当します。
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メリット:
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パソコン(CPU)に一切の負荷をかけない:データの二重化(ミラーリング)や、万が一の故障時のデータ再構築(リビルド)処理を、すべてコントローラー上の専用チップ(ASIC)が代行してくれます。パソコン側のCPU性能を消費しないため、重いアプリケーション(動画編集や3D処理など)にPCパワーを100%集中させることができます。
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OSに依存しない(ドライバ不要):ハードウェア側で複数のディスクを1台にまとめた状態でパソコンに接続するため、パソコン側からは「普通のハードディスクが1台繋がっている」ように見えます。Windows、Mac、LinuxなどのOSの違いを問わず、プラグ&プレイで使えます。また、OSが起動する前のBIOS画面からシステムを保護できるのも強みです。
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デメリット:
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専用のハードウェアが必要なため、初期導入コストが高くなります。
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もしコントローラー基板自体が物理的に壊れた場合、データは無事であっても、同一(または互換性のある)コントローラーを用意しなければデータを読み出すことができません。
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2. ソフトウェアRAIDとは?(パソコンの頭脳で処理)
ソフトウェアRAIDは、特別なハードウェアを使わず、パソコン本体のCPUとOS(WindowsやLinuxなど)の機能を使ってRAIDの処理を行う仕組みです。 Windows Serverに搭載されている「記憶域スペース」や、Linuxの標準機能である「MDRAID(mdadm)」などが代表的です。
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メリット:
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コストがほとんどかからない:OSに標準で搭載されている機能や無料のソフトウェアを使うため、特別なパーツを購入しなくても、今ある複数のドライブだけで構築できます。
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データの移行や復旧がしやすい:特定のハードウェアコントローラーに依存しないため、パソコン自体が壊れても、ディスクを取り出して別のパソコン(同じOS環境)に繋ぎ替えるだけでデータを簡単に救出できます。
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デメリット:
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パソコンの動作速度に影響する:データの読み書きやパリティ計算などをパソコンのメインCPUで実行するため、ディスクへの負荷が高いときにパソコンの動作が重くなることがあります。
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OSに依存する:OSや専用のドライバが起動してから初めてRAIDが機能するため、OSが入っている「システム起動ドライブ」自体をRAID化して保護するのが難しくなります。また、VMwareなどの一部のハイパーバイザ環境では、標準のソフトウェアRAIDがサポートされていない(vSANなどが必要)といった制限があります。
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3. ハードウェアRAID vs ソフトウェアRAID 比較表
| 比較項目 | ハードウェアRAID | ソフトウェアRAID |
| 処理を実行する場所 |
専用のコントローラーカードやチップ
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パソコン本体のCPU
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| CPUへの負荷 |
ほぼゼロ
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パリティ計算等でCPUパワーを消費
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| OSへの依存性 |
依存しない(ドライバレス)
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依存する(対応OS・ソフトが必要)
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| 初期コスト |
高い(専用機器が必要) |
無料〜安価(OS機能を使用) |
| 故障時のデータ復旧 |
同一コントローラーが必要 |
別PCでもドライブを繋げば復旧可能 |
| NVMe SSDでの速度性能 |
コントローラーの物理帯域がボトルネックに |
CPU直結で超高速(Gen5等の速度をフル活用) |
4. 【最新トレンド】「NVMe SSD」の登場で常識が変わった?
実は最近、超高速な「M.2 NVMe SSD」が普及したことで、この2つの関係に少し変化が起きています。
従来の低速なHDDやSATA SSD環境であれば、ハードウェアRAIDの方が圧倒的に有利でした。しかし、NVMe SSDは転送速度(数GB/s〜十数GB/s)やI/O処理能力(IOPS)が非常に高いため、従来のハードウェアRAID基板を間に挟むと、基板側の転送帯域(PCIeスロット)がボトルネックとなり、SSD本来のスピードが頭打ちになってしまう現象が発生するようになったのです。
そのため、最新の超高速NVMe環境では、あえて「ソフトウェアRAID」を使用するか、以下のような「新しい統合型・ハイブリッドRAID技術」が主流になりつつあります。
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Intel VROC(Virtual RAID on CPU): SSDをマザーボード経由でCPUのPCIeレーンに直結し、ボトルネックを排除しつつ、OS起動前のBIOSレベルでRAID管理を行う、インテルCPUに統合されたスマートな仕組みです。
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GPUベースのRAID(GRAIDなど): データ転送はCPU直結にして帯域をフル活用し、重いパリティ計算処理だけを専用のGPUカードに丸投げする最新のアプローチです。
5. まとめ:あなたはどちらを選ぶべき?
用途や優先したいポイントによって、選び方はシンプルに決まります。
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「ハードウェアRAID」がおすすめの人
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OSが入っているシステム起動ドライブを確実に二重化(ミラーリング)したい。
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3Dグラフィック、高画質動画編集、PCゲームなどを行っており、CPUパワーをストレージ処理に1%も奪われたくない。
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古いパソコン(レガシーOS)や、特殊な産業用システムを構築している。
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「ソフトウェアRAID」がおすすめの人
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追加の機材コストを抑えて、大容量のバックアップ用データプールを作りたい。
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複数の最新NVMe SSDを組み合わせて、理論値ギリギリの爆速データ転送環境(数万MB/sクラス)を作りたい。
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万が一パソコン本体が故障した際、別のパソコンにディスクを差し替えてすぐにデータを救出したい。
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それぞれの特徴を理解して、あなたの用途や予算に合わせた最適なディスク環境を整えてみてください!
